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金沢学 2019年12月講座「加賀藩の御救 ~『福祉』以前の災害復興~」 [学ぶ・読む]

今月の市民公開講座「金沢学」のテーマは「加賀藩の御救(おすくい) ~『福祉』以前の災害復興~」
講師は、金沢大学准教授の丸本由美子氏(専門は日本法制史)

 金沢学12月.jpg     
 (北國新聞の記事)

講義メモ。骨子は次のとおり。
1.はじめに -前近代の「福祉」的システム概説
(1)そもそも「福祉」とは?
  1)現代の用法
   「福祉」を名称に持つ法令:「対象者の「しあわせ」のための公的機関の関わり方」を
                規定するもの
  2)過去の用法
   どちらの漢字も「さいわい」を意味し、熟語でも「幸福」を意味する
  3)「福祉」の意味合いの変遷
   「幸せ」一般:抽象的、概念的、指標や実現のための手段はない
   ⇒法や社会を土台とした「幸せ」:具体的、法規範の存在

 人的集団のあり方に応じて弱者への扶助は行われる=その時代の人びとの工夫の積み重ね

(2)前近代の扶助
  1)前近代において特別な生活支援が図られた人々
   鰥寡(かんか)孤独=配偶者に先立たれた男女、親の無い子ども、老いて身寄りの無い者
   災害被災者
  2)一般的な支援の中身
   衣料・食料・建築資材等の貸与・給付、施設への収容、税の減免
  3)主な実施主体
   時代による変遷:組織→個人、公的事業→ボランティア

2.加賀藩で行われた御救(おすくい)・救恤(きゅうじゅつ)の事例
  *救恤とは、困っている人に見舞いの金品などを与えて救うこと
(1)代表的な政策
  米などの食料の貸与・給付、公共事業による雇用創出(御救普請ふしん)、年貢減免、
  頼る相手がいない者を収容・療養(非人ひにん小屋、御救小屋)、除雪補助 など

  現代とあまり内容が変わらないのが興味深い

(2)修正の上、長期間継続して運用された困窮者対策=施設収容
  1)非人小屋の設置と維持の理由
   農作物の不作(食糧不足)→都市部へ人が流れる(困窮者が移動)
   →治安の悪化(乞食の増加)→迷惑行為を防止するため、収容施設(小屋)を設置
  2)御救小屋の設置
   非人小屋が恒常的施設であるのに対し、地震等の災害被害救済のための緊急避難施設   
  3)修正の背景 -「非人」概念の変化
   非人とは、賤民(人非)つまり身分⇒貧民(乞食)つまり状態を指す

おわりに:
●現代的な「福祉」が定着する以前の困窮者対策=御救・救恤の特色
 御上等の哀れみと慈しみによって「下賜」される(=必ずしも与えられるとは限らない)
●加賀藩の困窮者扶助の先進性
 早期の施設による困窮者対策を実施
 ⇒困窮者を活かし、藩の生産力と治安を維持するための施設であったが、時宜に応じた
  修正・工夫を加えたことで枠組みが約200年生き延びたのが最大の特色

【おまけ】
市民公開講座「金沢学」の11月は第15回金沢検定の受検でした。

     20191104 金沢検定合格証.jpg
     無事に初級合格!

思い起こせば、検定の初回にも受検。(会社ぐるみで)
しかし何の対策もせず、なんてことないだろうと自然体で受けたところ玉砕した次第。
今回はその轍を踏まないように参考書を読み、予想問題集に目を通し、新聞記事に注意を払い、市内各所に出かけて目で見て学習。

合格ライン80点のところ93点で合格しました。


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タグ:金沢 検定
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