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谷崎潤一郎と芥川龍之介 ―鏡花を愛した二人の作家 [金沢 観る・遊ぶ]

泉鏡花記念館で鏡花生誕150年記念特別展「谷崎潤一郎と芥川龍之介―鏡花を愛した二人の作家」を観てきました。

     20230521 泉鏡花記念館.jpg

今年は泉鏡花(明治6年=1873年11月4日生まれ)の生誕150年の記念年。
明治末期から大正期以降の鏡花を支えた二人の作家と鏡花との親交の軌跡を紹介する特別展です。

一人は谷崎潤一郎(1886-1965)
明治45年1月、東京・芝の紅葉館で開かれた文芸家新年宴会で、鏡花と同郷で同じく尾崎紅葉の門下生だった徳田秋聲の紹介で鏡花と面識を得て以降、親しく交流。
昭和14年(1939年)9月7日に鏡花が亡くなり、芝の青松寺で行われた告別式の出棺後は、鏑木清方、笹川臨風、徳田秋聲、水上瀧太郎、里見弴、久保田万太郎、小村雪岱、鰭崎英朋らとともに谷崎も付き添ったとのこと。
また、岩波書店からの鏡花の全集刊行にあたっての編纂委員にも名前を連ねました。
鏡花の妻すず、谷崎の妻松子、夫人同士も手紙をやりとりをする交流がありました。

もう一人は芥川龍之介(1892-1927)
鏡花の「草迷宮」(明治41年1月)発表当時、中学生ながら同作を読みふけるあまり、試験勉強を怠ってあわや落第の憂き目に遭うところだったという逸話が残っています。
昭和2年7月24日未明、自室で致死量の睡眠薬を服用し自死した芥川。
翌25日の「東京日日新聞」に、「え、え、え夢ぢやないかな。夢であつてくれればいいが何で死んでくれたのか怨めしい」という鏡花の驚きと嘆きが掲載された。
27日に行われた葬儀では、鏡花は先輩総代として最初に弔辞を読んだほどの仲でした。
(谷崎も上京して通夜、葬儀に参列)

【おまけ】
シネマ歌舞伎で、泉鏡花生誕150年記念の4作一挙上映が10月~11月にあります。
坂東玉三郎さんが主演の鏡花作品「海神別荘」「高野聖」「天守物語」「日本橋」


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中瀬智哉 ピアノ・リサイタル [音楽・オペラ]

北國新聞 赤羽ホールで「中瀬智哉 ピアノ・リサイタル」を聴いてきました。

  20230521 中瀬智哉ピアノリサイタル.jpg
  (1階席6列13番 3300円。ちょうど鍵盤の正面の位置、12番か11番の席がベストかも)

<プログラム>
●ベートーヴェン ピアノ・ソナタ 第27番ホ短調 op.90 第1楽章、第2楽章
●シューマン アラベスク ハ長調 op.18
●シューマン 謝肉祭 op.9
~休憩~
●ショパン バラード 第1番 ト短調 op.23
●ショパン バラード 第2番 ヘ長調 op.38
●ショパン バラード 第3番 変イ長調 op.47
●ショパン バラード 第4番 ヘ短調 op.52
<アンコール>
●ショパン 子犬のワルツ
●シューマン トロイメライ

お隣富山県の入善町出身の17歳。
ほんの短いトークで、中学校の修学旅行で金沢に来て兼六園に行ったことや近江町市場で海老コロッケを食べたエピソードを話している姿の初々しいこと。三年ほど前のことなのよね、きっと。
4歳から母親にピアノを習い始めたそうで、地元の中学校を卒業後に上京し、現在は慶応義塾高等学校3年。
彼が憧れる牛田智大くんにも似た、育ちの良さを感じる雰囲気を持っていますね。

久しぶりに若手アーティストの"青田買い"的な鑑賞でしたが、聴いて良かったです。
ステージに登場してピアノの前に座って一呼吸。
ベートーヴェンのピアノ・ソナタを細い体から想像していなかった力強い音で弾き始めたのには驚きました。
かと思うと、シューマンの謝肉祭では小気味よい躍動感を感じさせ、ショパンのバラードは滑らかに抒情的に弾きこなす。
弾き方が素直で、個人的に苦手な妙な感情移入(顔をゆがめたり、目を閉じて陶酔してみたりという過度な表情表現)がないのも好印象。

みずみずしい清らかさと、力強さをあわせ持った演奏に広がる可能性を感じました。
今後の活躍が楽しみです。


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